「夜這いの民俗学」

「レス」の克服
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「夜這いの民俗学・夜這いの性愛論」 赤松啓介 著 初版:明石書店、文庫:筑摩書房

この本の存在は、レスの問題について悩み始めた頃から知っていましたし、一度読んでみたい、という風にずっと思っていました。が、メジャーな本ではないので、書店やブックオフ等でも見つけることが出来ずに入手できずにいました。

この本を読むと、一言で言えば、もう夫婦の性のことで悩むのがバカバカしくなります。

著者の赤松啓介さんが、兵庫県東播地方を中心にご自身の聞き取りと、経験を通して当時の農村や町の庶民の「性」にまつわる風習について書かれた本です。タイトルの通り、「夜這い」と呼ばれる風習を通じて、当時の庶民がどのような「セ○○○ライフ」を送っていたのかを淡々と書き綴っています。

それによると、当時「一夫一婦で一生涯」などというのはほんの建前に過ぎず、この国はかなりの「乱婚社会」であったことがうかがい知れます。

結婚してても「夫が留守」であれば夜這いOKとか、13歳前後から、親も公認の上で初体験をさせ、祭りのときに「乱交パーティ」のようなことをしていたりと、ほんの70年ほど前まで、そういったことが行われていたというのは、読む人によっては「信じたくない!」と思わず本を閉じてしまいたくなるような内容です。

日本の風俗・民俗学と言えば。一般的には民俗学者の柳田国男さんのイメージが強いですが、実際にはそんなきれいごとばかりではなかったのだなぁと思い知らされます。

この本の文中でも、そのあたりを著者が攻撃しています。「綺麗ごと」ばかり並べて、と。

確かに、動物行動学的な視点で言えば、この「乱婚的」すなわち「色んな男・女と寝る」という行動は、理にかなっているのだと思います。男は「より多くの女と」、女は「より優れた男と」交わることで、多様な子孫を残すことが出来る、という点においては。

そして、今現在「当たり前のこと」とされている「一夫一婦で一生涯」という縛りというのは、実はほんの数十年ほどの短い風習なのだ、ということも良く分かります。

そういう意味では、離婚率が上がっていることも、巷に不倫が蔓延していることも、それほど特異な事ではないのかもしれません。

 

 

 

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