3年くらい前の、5月の連休の時期だったと思います。
以前、僕たち夫婦がレスの問題で一番揉めていたころ。口で伝えようとするとお互いがいつも感情的になって口論になり、伝えたいことも伝わらないので、とあるカウンセラーさんからのアドバイスに従って、僕の気持ちを手紙を書くことにしました。
便箋に手書きで、日頃子供たちや家のことをしてくれている事への感謝、妻のことを大事に思っていること、そして妻との行為が自分にとってとても大事で、行為を取り戻したいと思っている、というようなことを心を込めて書きました。
一生懸命、自分の気持ちをしたためた手紙。きっと妻は読んで何かを感じ取ってくれるはず。
そんな風に期待しました。ところが。
翌日、怒りに青ざめた妻から言われた言葉は「あんな手紙なんか書いて。卑怯よ!」でした。
その瞬間のこと、実はあまり詳細には覚えていません。あまりのショックと、あまりの怒りで記憶が飛んでいるのかもしれません。
子供たちに1階の部屋で遊んでいるように言い含めて、夫婦二人で2階の部屋で話し合いました。話し合いと言っても、二人とも感情が高ぶっていて、ただの言い合いだったようにも思います。「俺の気持ちすら、分かってもらえないのか」僕は涙を流して訴えましたが、妻も「私の気持ちなんて何も知らないで、あんな手紙なんて書いて!」と一歩も引かない。
僕は、お昼も食べずに外に飛び出しました。もう家に帰るまい。そんなことも考えました。
何が、妻をそこまで怒らせたのでしょうか。
僕の行動のどこが、「卑怯」だったのでしょうか。
当時は、全く理解不能でした。その日の夕方妻が謝ってきて一応仲直りはしましたが、僕の心の中には拭い去れない「納得のいかない」気持ちが残りました。
しかし、今となっては分かるんです。なぜ妻が「卑怯」と感じたのか。
当時妻は、僕との夫婦生活を維持しようと思えば、「行為」は避けて通れないことを「頭では」理解していたのだと思います。それで、一生懸命応えようとするけれど、気持ちが付いていかない。そんな状態で苦しんでいたんです。
そこに、僕が手紙を書いてきた。内容自体は間違ったことは書いていない。世間的には「正しい」内容。でも、一見”正しい”だけに、苦しんでいる妻からすればこんな風に思えたことでしょう。
「俺はこんなに君のことを大事に思っているんだから、最終的には君が態度を改めるべきだ」と言われた! それも、形に残る「手紙」というやり方で! 何よ、苦しんでいる私の気持ちも考えないで!
「卑怯よ!」
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どんなに頑張って、勇気を振り絞って自分の思いの丈を相手にぶつけたとしても、相手が受け取れるボールでなければ意味がない。もちろん、自分の希望や要望を伝えること自体は必要ですが、それはあくまで「コミュニケーション」が成り立っているのが前提です。つまり、「相手の言っていることも、きちんと聞ける。相手も自分が言ってることをきちんと聞ける」状態であること。それができていない状態では、ただ自分の気持ちをぶつけるだけではダメだということ。そんな状態で、なまじ相手が反論できない「正しい」ことをぶつけてしまえば、相手は追い詰められて余計に感情的になってしまうしかなくなってしまいます。
気持ちを相手にぶつける、というのは一見解決に向けて努力したように見えても、「この状況を変えることを、相手に期待している」という点では全然問題解決につながらないのです。
長くなってしまいそうなので、続きはまた明日。
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