全く違う分野に行くなら若いうちに。年齢を重ねても経験と知識を活かせればOK。

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この5年ほどで、就職・転職者を取り囲む環境は、ガラっと変わった感があります。以前は、「35歳を超えたら転職は厳しい」とか、「40超えての転職はちょっと…」とか、年齢によるハードルが存在し、それは当たり前の事として捉えられていました。ほぼ全方位・全業種で人手不足が叫ばれるようになった昨今、昔ほど年齢の壁というものは存在しなくなったのかな、と感じます。

では、なぜタイトルのお話なのかというと、転職する本人にとって、いい転職になるのかどうか、ということを考えた場合のお話です。

僕が、土木ではなく建築がやってみたい、と最初に勤めた会社を飛び出したのは30歳の時でした。それまで、パイプライン他鋼構造物の設計を仕事にしていたところから、住宅リフォーム会社の営業・施工管理という、全く違う分野へのチャレンジでした。

その結果、どうだったか。一応、会社の中ではそこそこ実績を出していた方ではあったと思います。年間の受注が約8,000万、住設メーカーの販売コンテストでも全国トップの成績を出して表彰旅行に連れて行ってもらったり。念願だった一級建築士もとったり。傍目から見れば、「転職して、成功だったね」と言ってもらえる状態だったと思います。

でも、そのころの自分を振り返ると、全然「幸せ」な状態ではありませんでした。家庭の面では、子供を産んだばかりの妻と子供を完全に「放棄」したような状態での仕事、仕事、仕事の毎日。いつも精神的に余裕がなく、ちょっとしたことに感情的になり、当たり散らすような毎日。今考えても、二度と戻りたくない日々でした。

分野を変えてチャレンジすること。それ自体は全然悪くないですし、そこにあなたが望んでいる毎日があるのであれば、チャレンジするのはいいと思います。ただ、できればそれはあなたに守るべきものができる前の、若い時期にした方が良いと僕は思います。

家族や守るべきものが出来てから、それでもどうしてもチャレンジしたい、ということならば、しっかりと覚悟を持ち、強い意志で取り組む必要があります。

僕は、その部分の覚悟が足りていなかったなぁと、今つくづく思うのです。先ほど書いたように、確かに頑張ってはいました。でも、その頑張りの代償を妻に求めていた。本来は自分の意志で選択したことなのに、「俺は家族のためにこんなに頑張っているのに…」という不満を常に抱えながら仕事をしていた。これでは、上手くいかなくなった時に踏ん張ることが出来ない。結局、パワハラ上司という壁にぶち当たり、それまでのやり方を否定されたときに、それ以上頑張れなくなってしまったのでした。

とにかく、分野を飛び越えて新しいことにチャレンジする場合には、しっかりとした覚悟を持って臨んでほしいと思います。

さて、最初に書きましたが、昨今の人材不足の影響で、年齢を重ねてからの転職も最近は当たり前になってきました。これは、喜ばしいことだと思います。僕達アラフォー以下の世代が老いるころには老後なんて死語になっていて、働けなくなるまで働き続けるような世の中になっていることでしょう。長く働く以上、年齢に関係なくよりよい条件の下で働ける環境が得られるのはありがたいことです。

ただ、年齢を重ねてからの転職で意識しないといけないのは、これまで生きてきた中で得られた知識や経験がある程度活かせるかどうか、の部分になると思います。これは、さっきの「新しいことにチャレンジするのは若い方がいい」というのと、ちょうど真逆の部分になります。

30代なら30代の、40代なら40代の、50代なら50代の、それぞれの年齢層までやってきた中での知識や、経験値は何なのか、それが自分の武器になっているのかをちょっと立ち止まって考えてみるといいかもしれません。そしてできれば、それがあなたの武器として活かせる場所を探すといいのではないでしょうか。

僕の場合には、今の会社に入った経緯は本当に行き当たりばったりだったので、全くエラそうなことは言えないのですが、結果論で言えば、20代のころに設計の仕事をしていたことが、発注者の設計の意図を読み取ったりするには大いに役立ちました。また、政府系機関への出向経験が、役人の発想や思考回路を理解して手を打つことに役立っています。また、一見無意味にも思える分野違いの営業経験も、立ち居振る舞いや相手の考えている事を読んだりすることで発注者や下請け業者さんとの関係性を構築する上では大いに役立っています。結果的には、これまで自分がやってきた事を活かせる場所と出会えたことが今の自分の毎日の満足感に繋がっているのかなぁと思います。

今や、どこを見回しても人手不足です。僕が大学を出て就職活動をしていたころには全く考えられないくらい、働き手側に有利な売り手市場です。このいい時代の恩恵をしっかり享受するためにも、ご自身がどんな風に、どんな仕事で輝いていたいのか、希望を持って考えてみて欲しいと思います。

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