辞めるだけが選択肢ではない。冷静に現状を分析してからでも、遅くはないはず。

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僕は、今から12年前に大手鉄鋼メーカーのエンジニアリング部門を辞め、Uターン転職して地元に戻りました。

実は僕の地元は、その大手鉄鋼メーカーのお膝元でして、その会社に就職したのも地元企業だったら、いつかは地元に帰れるかもしれない、という期待感があってのことでした。ありがたい事に「地元に帰りたいのが理由であれば、地元の職場を用意してやる」という打診までいただいたのです。しかし、「会社を辞めて、新しい事、自分が本当にやりたい事をしたい!」と当時の僕の頭は凝り固まっていて、結局その打診を断って、リフォーム業界への転職の道を選んだのでした。

今になって冷静に考えてみれば、あそこで辞めるという選択をしたのは正解だったのかな、と感じています。なぜなら、同期の動向などを見ると、海外まで含めた転勤・現場赴任はまぁ当然の会社ですから、そこに残っていたなら自分も同じ境遇になっていたことは間違いなく、今のような家族と平穏に暮らす「僕にとっての幸せ」な暮らしは送れていないと思うからです。また、踏み込んで言えば、転職後にリフォームの営業マンとして経験した数々の苦しい出来事や経験は、僕の人生にとって必要だったのだと思っているからです。

しかし、感じ方は人それぞれ。他の人が同じ境遇にあったなら、そうは思えないかもしれません。何しろ、給料は今の倍近くあり、「大手企業の社員」というステータスもある。「しまった!!何て選択をしてしまったんだ!!」という後悔に、苛まれる人だって中にはいるかもしれません。

今、大手企業に勤務していて、でも目の前の仕事や人間関係などに悩んで転職を考えている人には、ぜひ一度、立ち止まって考えて欲しい。本当にその選択で、あなたが後悔しないのか、ということを。

前にも書きましたが、今は転職するのに年齢の制限とかほとんどありません。(公務員の中途を除いては。)あなたがやる気になれば、必ず欲しいと手を挙げてくれる企業はどこかにある。だから、焦る必要はありません。じっくり検討する時間はたっぷりあると思っていいと思います。

冷静に考えるためには、まずあなたが今の会社を辞めたいと感じている理由をはっきりさせる必要があると思います。

辞めたい理由が、仕事の内容である場合。大手企業なら、社内での異動で今とは違う種類の仕事をする、ということが可能です。僕が転職したとき、「建築(異業種)に行きたい」という希望を持った背景には、当時担当していた水輸送用のパイプラインの仕事に将来性が見えなかった、ということがありました。で、会社が提示してくれたのは、地元で且つ、建築関係の部署への異動。大手の会社であれば、そういうことが出来たりするんです。僕はそれを蹴ってしまいましたが。。。

それに、今担当しているからとか、専門分野がどうとか、そんなことは年齢が上がり、出世していくうちにどんどん薄まって、関係なくなっていくものです。今の仕事を未来永劫し続けるなんてこと、実はほとんど可能性がない、と言ってもいいのかもしれません。

人間関係で辞めたい、と感じている場合は、その深刻さ具合にもよるかもしれません。日常的にパワハラやいじめを受けていて「心も体も限界」という場合には、いつか上司も部下も同僚も異動で変わるから、なんて悠長なことを言っていられないかも知れません。ただし、病気を理由に「休業」ができ、復帰が許されるのも大手企業ならではの部分です。我々中小企業では「休業状態=辞めさせられる」というのが現実ですから。

会社の体質に合わせることが出来ない、という理由の場合。こうなってくると、辞めた方がいい可能性が他の二つに比べれば高くなってきます。今、世間を賑わせている「改竄・隠蔽」の問題などは、企業の体質にもよるもので、こういったものは部署が変わろうが年月が経とうが変わる可能性が低いものだからです。

僕の場合で言えば、リフォーム業界で最後に働いた会社を辞めた理由の一つがこれでした。以前の記事にも書きましたが、その会社は誰もが知る住宅メーカーの子会社だったので、当時苦しめられていたパワハラ上司から離れてよその支店や営業所に転勤する術はありました。しかし、転勤で一旦パワハラ上司から離れたとしても、そのパワハラ上司の体質は、親会社を含むその住宅メーカーグループ全体の体質そのものだと常々感じさせられていたので、異動した先でも同じことで苦しむ可能性は高い。だから、目先の異動などでは全く問題の解決にはならないな、という判断をしたのでした。これは、正しい選択だったと思います。私を退職に追い込んだパワハラ上司は、その後も何人もパワハラで退職に追い込んだにも関わらず、着々とその会社内で出世の道を歩んでいるようですから。

大手の会社に所属していて、待遇がいいからとか、将来が安定しているか辞めるべきではない、などと言いたい訳ではありません。しかし、辞めなくてもあなたの願望が叶うのであれば、その道を探るのも、賢い選択の一つではないか。僕はそう感じています。

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