いつまでに、何をしなきゃいけないの?

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その若い子は、派遣で一日だけ、私の現場にやってきました。

どうやら吃音があるようで、声を出すことが苦手らしい。

ただ、性格は真面目なようで、言われたことは一生懸命真面目にこなそうとする。

その彼と、休憩時間に少し話をしたところ、彼はこんなことを言いました。

「この現場に来て、色々と勉強になりました!」と。

へぇ、この土木の現場で何を学んだのかなぁと思い、「例えばどんなことが勉強になりました?」と聞いてみると。

「25歳までに定職に就いて、早く自立しなきゃと思いました。」

「???」

どうやら、職人さんたちに、「いつまでもフラフラしてちゃだめだ。25までに定職につかんと」と諭された様子。

もっと突っ込んで話を聞いてみると、彼は何となく高校を卒業し、何となくフリーターをしてきて、一度も「どう言う風に生きていこう」とか考えたことがない、というんです。

で、今回初めて、具体的に「25歳までに定職につけよ」と言われて、新鮮な驚きを覚えているようでした。

え~!?と思いますが、ある意味、これが現実なのかなぁとも思わされました。

僕らの子供のころは、「いい学校→いい会社=安定した暮らし」が当たり前のように「目指すべき道」だと言われていましたが、今ではそんなモデルは意味をなさないことがはっきりしてしまいまいした。一流の会社に入って、仕事で追い込まれて自殺して、なんてこともちょくちょく耳にする世の中です。「こんな風に生きるべき」なんてものが存在しなくなった今、本人もぼんやりしていて、周りも放っておくと、彼のように「何となく」生きているだけ、みたいなことになるのかもしれません。

ちょっと前に、「30代までにすべきこと」的な本がたくさん売れていましたが、以前はこれが当たり前、と言われてきたモデルが崩れてしまい、誰も言わなくなってしまったがために、それが示されると新鮮味があって読みたくなるのかもしれませんね。

彼には、「いつまでにこうすべき」ではなくて、「いつまでにどうしたい」が大事なんじゃないの?と伝えました。

「すべき」なんてものは存在しない。本人が「どうありたい」のか、だけなんだよ、と。

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