「一文字」を削り出す

リクルート
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土木の現場監督をしていると、あまり「文章を苦しんで書く」、という仕事に直面する機会はないのですが、「受注前の技術提案」を書くときと、検査前に「創意工夫」について書く場合には、大いに苦しめられます。

今、とある案件の技術提案を書くお手伝いをしていますが、これがなかなかの難問で。

文字数の限りが無く、滔々と語って良ければいくらでも説明するのですが、なにせ「○○文字以内」という制約がある中で、それでいてこの文章の是非で受注が左右される、ともなると「入れたい情報は山のよう、語れる言葉は僅かなもの」という状態になる。

一旦は言いたいことを全部入れて制限数を大きく超えた文章から、表現を変え、内容を凝縮し、あと5文字、4文字、3文字、、、、と最後は一文字ずつ削っていく。

実は、私が最初に勤めていた会社(部署)はこの「鬼の推敲」が大好きなところでした。2年おきに昇格試験があるのですが、その際に「論文」の提出が求められ、該当者は提出前の約一か月間を業務をこなしつつ夜は徹夜で論文作成に勤しむ、という生活を余儀なくされます。

上につく上司の性格によって変わるのですが、私の上司は「最後の一文字一秒まで手を緩めるな、試験は合格すればOKではない、論文の評価がお前の今後の会社員人生を左右するのだ~!」と、まぁストイック且つスパルタな人でしたから、そのしんどさは推して計るべし、というありさま。

よく、駅伝の中継を見ていると、解説の方が「一秒を削り出せ」なんぞと言ってますが、それになぞらえてかこの最後の文字を削る作業を「一文字を削り出す」という風に上司は言っておりました。

「○○ハラスメント」隆盛の昨今、今では失われし光景、でしょうか。

ただ、それだけスパルタな教育を受けた甲斐もあってか、今や「制限文字数以内で文章を書く」という行為は「自分の得意技」だと自負できるものになりました。

ハラスメント!と騒ぐのもまぁ結構ですが、ひいては「自分のため」の場面もあるはず。そこは、柔軟に生きたいものです。

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