先日、この現場で「砂を敷く」理由について、「泥の上で作業するための足場として」「その後の地盤改良における水の通り道として」、という説明をしました。
しかし、「砂を敷く」理由はそれだけではないなぁ、、、と前回の記事を書きながら思っていたので、今回は、前回の記事の「つづき」として書いていきたいと思います。
・水に”乗せて”運べる上に、水から簡単に離れて沈んでくれる。
今回の工事では、これまでの記事でも書いたように「水搬式敷砂工法」と呼ばれる方法で砂を敷いています。
上の写真、ショベルカーが写っていますが、ここで砂を汲み上げた海水に混ぜています。真上から見ると、、、
ショベルカーの右側、えんじ色の箱のような物(攪拌槽)の中に、一本パイプが通っていて、そこから水が噴き出すようになっています。この水槽の中で砂と水を混ぜ、右側黄緑色の「マイクロポンプ」で圧力をかけて、配管の中に「砂と水」を押し出していきます。
圧力をかけて水上の管の中を流れた「砂と水」は、先端の砂撒き台船から、水中へ放出されます。
砂は粒が小さいため、圧力をかけた水に「乗っかった」状態で管の中を流れます。でも、水には溶けないため、海水中に放出されると、水中に沈んで堆積します。これが「砂」を用いる大きな理由の一つ。
例えば、これが「土」だったら?土には大きな成分(石)から、ミクロン単位の小さな粒まであるので、大きなものは管の中にたまり、小さいものは水に乗ったまま浮遊する。砂の様に均一に撒くことは難しい。
そういう意味で「砂」を使用することは「理にかなっている」と言えます。
入手方法、購入・運搬の方法が確立している
もうひとつ、砂が選ばれる理由。それがこれ。
実は今、世界では「砂」という資源は枯渇に瀕しています。世界中でコンクリート構造物が作られるようになりましたが、コンクリートの製造するのに使用できる粒径の砂は、限られた存在。
大量にある「砂漠の砂」では、コンクリートは作れない。ですので、砂の値段は以前にくらべ高騰しています。
ですがそれでも、新たな材料を検討するのに比べ、入手方法、購入・運搬の方法が確立している「海砂」を使うのが、やはり一番経済的。
今回、現場に砂を運んでくる「砂船」は、大きい船だと一回に「6,000t」の砂をもってきてくれます。こういう海砂の採取・運搬・販売の経路が整っている、というのは大事なこと。
それでも、いつか枯渇するであろう「砂」の問題は、土木業界としても考えていくべき課題の一つだろうと思います。
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